ホゲと「女装」と、トランスジェンダー&女性蔑視 ー「痴女丈ナイト」をきっかけにー

 

2020/9/26に新宿二丁目でこんなゲイクラブイベントがあったらしい。 

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その名も「痴女丈ナイト」

 

「『痴女丈』ナイト」のネーミングと、「痴女装」「眼で楽しむ視姦」、、、、

 

これはあかんやろー!!

 

いくら二丁目のゲイの内輪でやるって言ったって、そのイベントに参加できない「脚が出てる女性」を男性側から痴女呼ばわりするのはダメー!!

 

女性が脚を見せるのは基本的にはファッションの一環であって、男性を惹くためじゃないわ!

 

シスジェンダーヘテロセクシュアル(ノンケ)の男性の集団よりも、シスジェンダーゲイの男性集団の方がめっちゃ女性を見下してる感が強くてたちが悪い。パワハラセクハラも良いところ。。。

 

シスヘテロ(ノンケ)の方が最近こういう事きちんと考えてやってるのに、恋愛対象セックス対象じゃないからと言って、セクマイ内でこういう「女性蔑視」「女性をバカにすること」をやっちゃいけないでしょー!!

 

文化盗用の度が過ぎる!!

 

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こんにちは、もじゃです。コロナ禍で皆さん元気で生きていますか?

 

今回は(いつも?)怒りのもじゃからスタートです。さすがにびっくらこきました。

 

ちなみにTwitterで「痴女丈」と検索したら、ほぼほぼゲイのアカウントしか出てきませんでした。

なんじゃこら???

 

さて、きっかけは「痴女丈」ですが、今回のテーマは

 

「ゲイコミュニティ・ゲイ文化と、トランスジェンダー&女性蔑視(ミソジニー)」です。

 

まぁ結局いつもの通りですわ。

ゲイの要素とトランスジェンダーXジェンダー/ノンバイナリ・たまに性自認が女性になる)の要素を持って新宿二丁目で「オカマ」として飲み歩いているあたしもじゃの、飲みながら・Twitterを見ながらのゲイコミュニティへの違和感をつづります。

 

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言いたいこと

結論を言えば、ゲイの世界って基本的に、シスヘテロ男性(ノンケ男性)の世界よりももっと「漢」な世界だなって(特に行動や内面性で)。シス男性以外への蔑視と差別が甚だしいな。だからこそ、自分とその集団の「らしさ」を他人に押し付けたり、他人の生き方をバカにして否定するんじゃないよ、ってこと。

 

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個人的な経験を話そうかな。

 

まずは「ホゲ」

 

改めて説明すると、「ホゲ」とは「男性」が「女性的」な言動をする事のゲイ用語ですね。別の言い方をすると、「典型的なゲイ」とされる「オネエ言葉」「おかま」言われるやつ。

 

あたしの場合は、トランスジェンダー要素があるから、あたし自身の男性性を低くするために「ホゲ」を「非男性性表現言語」として使ってます。ゲイ文化に染まるずっと前から。

 

ところが、「ホゲ」には苦い思い出があるのよ。

 

大学生の時、とあるセクシュアルマイノリティの当事者サークルに入ってて、サークルの旅行(関東近県)の時

 

もじゃ「(腕にカバンを下げながら)ちょっとコンビニに行ってくるわね。」

サークル員「もじゃ、宿の外でその言葉遣いと仕草してると他のサークル員のアウティングに繋がるから止めてね。」

 

そう、簡単に言うと、あたしのアイデンティティを抑圧されたのよ。

 

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それから「女装」

 

過去の「TRPで受けてしまった云々」の記事にも記載している例があるけどもうひとつ。

そのサークルで新歓担当をしてて新歓飲み会が開催される直前こんなことを言われた。

 

サークル員「もじゃ、当日は『変な格好』は絶対にしないでね。」

 

当時はセクシュアリティの混迷期だったので、服装も男性装・女性装、時にはしっかりと顔面を化粧したりしたこともあった。

この人が言いたかったのは、新歓で初めてセクマイの人に会う人もいるから怖がらせないように「女装」はしないでほしい、ってことだったのかなと思う。

 

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で、性自認aiko』」問題

 

これは去年くらいにTwitterで炎上した案件。

 

性自認は「『性』別の『自』己『認』識」が定義。

主にGIDGD性同一性障害・性別不合)の診断の際に重要な要素として取り扱われる概念なのね。(ちなみに、トランスジェンダーでは、性自認よりも「実際の生活でどういう性別で生きているか」が重要な要素になってくる。)

 

それを、とあるシスゲイ(発言元は一般ゲイ、その後「LGBT研修」などを行うゲイが拡散)が

 

「(自分は男でゲイだけど)あたしはaikoにめっちゃ共感するし、同じようなメンタリティだから、あたしの『性自認aiko』だ。」という主旨の発言した事が非シスジェンダー当事者で大炎上。

 

もちろんあたしもこれは批判した。

 

言いたいことはわからないでもない。きっと「自分はもはやaiko」と思ったんだろう。

 

でもそれはパーソナリティの1つに過ぎず、ましてや「性別」の自己認識ではないの。

 

「丸の内OL」とかいう表現もそうね。

企業世界では「ビジネスマン」「OL」から「ビジネスパーソン」に変わったけど、ゲイ文化では「リーマン」(フェチ的に)「OL」(パーソナリティ表現)がまだ多いわね。

 

つまり、完全なる『文化盗用』なのよ。

 

「文化盗用」と言えば、ハッシュタグ"#blacklivesmatter"、これもアンチとして"#whitelivesmatter"などが出てきたが、”blacklivesmatter”の方から「このハッシュタグの文化盗用は絶対にやめてください。」とアナウンスが出ているのよ。

 

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何にせよ、ゲイが中心のコミュニティでは、Xジェンダーであるあたしは、とはいえ本来なら「ありのまま」でいられるはずの所で、「シスジェンダー男性」の振る舞いを要求される事が多々あるし、トランスジェンダーやシス女性の「言葉」を「遊ぶ」事がよく見られるの。

 

とても辛いことよ。

だって、自分のアイデンティティを否定されてるんだもの。

 

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あたし個人の経験から離れて、

コミュニティ内での「ホゲ」「女装」を話そう。

 

「ホゲ」が使われるシーンは主に2つ。

◯シスヘテロ(ノンケ)に対してステレオタイプな「オカマ」を演じるため

◯「ゲイの友人同士でくだけたシーンで仲間内でお喋りする」時

 

ここでは後者について話すね。

 

ゲイの友人同士でくだけたシーンで「ホゲ」はよく見かけるんだけど、俗にいう「キレイ売り」、つまり、主にSNS上で出会った人(特にイケメン)と初めて会う(特にセックスや恋愛に進みそうな予感がする)時に、「ホゲ」を隠して男ぶる事が多々あるの。相手だってホゲてるかも知れないのに定型文的に。

 

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それから女装。

 

ゲイシーンで女装するのは主に2

◯ショーイベントやクラブでのゲイナイト、ゲイバーのパーティなどで「プロ」が「女性」に扮する「ドラァグクイーン

◯ハロウィンなどの季節性イベントの時に、ゲイバーや売り専などのゲイ職業に就いた事がない「素人ゲイ」が楽しみで女装するパターン

 

遅くとも1969年の「ストーンウォールの反乱」の時期にはゲイシーンで「ドラァグクイーン」は存在してたのね。シスゲイ当事者もトランスジェンダー当事者もいて、ひっくるめて「ドラァグクイーン

その後、白人ゲイによる「女装&トランス女性排除」の権利運動もあったりして現在に至るわけなんだけど、

 

現在あたしが肌で感じるのが

 

「女性的・中性的なゲイ&トランスジェンダー」を排除する「男らしいゲイ」が存在する事。その排除性の一方で、コメディとしての「ドラァグクイーン」は称賛されるし、「夜」に「女装」をする人もそれなりにいるという事。

 

これは一体どういうことなんやろ?

 

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ここでゲイバイ男性向け出会い系SNSを見てみようかな。

 

あたしゃ複数の出会い系アプリに登録しているんだけど、いろんな人の自己紹介を見ると思う事があるのよ。

 

「ホゲる人NG」「自分はホゲてません」「オカマNG

「女々しい人NG」「店子や売り専ボーイNG

「普段はノンケ生活です」「秘密厳守で」「妻子あり」

「ゲイの世界に慣れていません」「純日本人です」

「常識のある普通の人が良い」

 

とか。

 

掲示板風にまとめると

 

 

「家で全裸待機してます。秘密厳守で面倒抜きでサクッとヤリたいす!

普段はノンケ生活で染まってなくて、顔悪く言われません。

ホゲてる人、売り専ボーイ店子、女々しい人は生理的に無理です!」

 

 

 

みたいな?

 

要するに、「純朴」な「男」を演出する「キレイ売り」(=性的指向的にゲイバイ男性に「より魅力的に見える」演技)のために、女性性や女性ジェンダーとか、「普通でない様子」を隠し、他人の属性や特徴、さらには職業を排除差別する様子が見えるのよ。

 

確かに「ゲイ」の定義は「男性同性愛者」。多くの場合は性行為的な意味で、男性への性的指向をさすけども、それを表明するのに女性性のある人物(=「男らしくない『男性』」とか)や「プロ」の排除を行わなくてもいいのでは?と思うわけですわ。

 

当然そこには、そのアプリに登録しているであろう「トランスゲイ」への偏見も多く見られるわけで。

 

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偏見すぎる発言にはなってしまうけど、

 

現実の世界(特に「昼職の勤務先」とか)でセクシュアルマイノリティであることを隠して、SNS上など「裏の自分」「エロ裏アカウント」でセクシュアルマイノリティとして楽しもうとする人は、エロのこと(ベッドの上でのこと)しか考えない状態になってるのね。

 

「昼の世界」では、この社会の階層トップである「シスジェンダーヘテロセクシュアル男性(ノンケ男)」として生き、その世界の慣習を内面化し、「裏の世界」では男らしい男としか出会う事がない故に、「ノンケ男よりも強い『漢』」になってしまってる恐れがあるのよ。

 

その価値観がベースにあると、トランスジェンダー、特にトランス女性やXジェンダー・ノンバイナリ(などのいわゆる「男・女」以外の性別)の人間に対しての差別に加担してしまう事が、結構Twitterで多く見られるのよね。

 

まぁ、だからこそ実は、「男らしく・ノンケっぽく生きなきゃいけない」っていう自分の中の束縛ー「男らしさの『呪い』」で苦しむケースも多々あるんだけどね。だからこその憂さ晴らしはあるのかも知れないわ。もちろん、憂さ晴らしが偏見差別誹謗中傷になってしまったらダメだけど。

 

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ジェンダーセクシュアリティの「脱ぎ着」が可能か不可能か

 

もしかしたらこういう価値観は、普段どういう「性」の立場・環境にいるか、もっと言うと、いわゆる「昼間の生活」と「夜の世界」で「セクシュアリティジェンダーを『脱ぎ着』している」かどうか、昼の社会にいてバレないような「埋没」の生活かどうかで変わってくる可能性がある。

 

あたしはいろんなセクシュアリティを持ってるけど、他人から見れば「わかりやすい典型的な『オカマ』」をやっている(というかやらざるを得ないというか)。昼でも「夜」でも。

 

本当は、そんな中途半端じゃなくて、昼も夜も全人生かけて「オカマ」やりなさいよ、と言いたいところ。

 

そんな、セクシュアリティ の「脱ぎ着」をするかどうかで、感情や思考、言動も変わってくるのよね。Twitterとか某アプリの自己紹介とかハウリングでずいぶん見てきてる。

 

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「非・男/女らしさ」があってもいいじゃない。

「男らしさ」「女らしさ」があるのなら、本人がその「らしさ」を持つのは問題ないけど、他人に「らしさ」を押し付けたり、そうじゃない「らしさ」を持つ人をバカにして否定する筋合いは無いわ

 

もしこの記事の内容が押し付けがましく聞こえるなら、それは普段から「性別らしさ」を押し付けているからこその「反動」としての嫌悪感かも知れないわね。

 

たまにTwitterで「ゲイあるある」「レズビアンあるある」「ボーイッシュの定義」とかっていう(そこそこバズる)ツイートあるけど、あれも気をつけないと、「らしさ」の押し付けになりかねないから、作る側は十分に注意しないといけないんだけどね。

 

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ここまで言うと、

「ゲイ差別・男性差別してんじゃねぇ」とか

「金輪際二丁目に飲みに来るな」とか

 

言われそうですが、セクシュアルマイノリティの最大マジョリティであるシスジェンダーのゲイが、それ以外の性別やセクシュアルマイノリティに行ってる偏見差別誹謗中傷を内部批判して悪い事を変えていくべきだし、あたしの立場から、「アンチ男性性」「悪く行き過ぎた男性性への批判」として声をあげなきゃならないの。苦しいけども。

 

外見も内面も中性的なゲイが好きだけど、男臭いマッチョなゲイコミュニティやゲイ文化は好きじゃない。でも、あの街でいろいろ助けてもらった記憶も多くあるし、今つながりがあるのは二丁目だから、これからも変わらずに電車に乗ってどっこらせっせと通うわ。

 

東京郊外に住んでるあたし、地元では出会いも友達もほぼ皆無だからこそ、二丁目に行って友達と会って喋ってお酒飲んで、その中でさらに仲の良い親友を作って。。。

 

あの街はあたしの数少ない「居場所」なんです。だからこそ、もっと良い環境にしたいのよ。それだけ。

 

仕事頑張ってお金稼いで、ゲイバーに売り専、通いつめようあたしゃ。