LGBT雑誌「PUER」 特集「出会い格差」「アプリ地雷回避マニュアル」レビュー ―「地雷」「ふつうのゲイ」とは―

こんにちは、もじゃです。

明日からゴールデンウィークですね。皆さんはどうすごすのでしょうか?

 

さて、わたしのtwitterfacebookを見ていただいている方々はおわかりかと思いますが、表題の通り、気になる雑誌と内容がありましたので、いろいろと考えてみたいと思います。

 

雑誌は、ゲイバイ男性のライフカルチャー雑誌「ISmagazine」が前身である、LGBTsとアライ向け雑誌「PUER」です。

http://isonline.jp/

コンセプトは「みんなのイマを切り取る」「ふつうのゲイにフォーカスした雑誌」だそうです。

 

で、twitterでこういう宣伝を見ました。以下、その画像です。

f:id:ergamioya08hyo:20180427150741j:plain

で、「出会い格差」で「アプリ地雷回避マニュアル」ですってぇぇ(゚д゚)!?

 

要するに「アプリで『地雷』に捕まったらめんどくさいから地雷を見極めて避けよう」「『地雷』の人は、これを期に出会いを増やすために直していこう」って感じなんでしょう。

まぁでもいろいろと推測をしてしまったわけです。

 

○地雷ってなんじゃい?

私の経験則や友人との会話から、

地雷とは、いわゆる「メンヘラ」「重い人」「コミュ障」が含まれてるのではと。

さらにtwitterでは、いわゆる「ホモ狩り」や、会った人からお金を借りて回っているなどという、「実害のあるタイプ」もそうなのでは、とリプをもらったのです。

 

ゲイバイ男性のライフカルチャー雑誌において、ゲイバイの「地雷」を作ってしまうのは、同類のセクシュアルマイノリティの中でも分断を生じさせてしまうのではないか、そんな老婆心的心配をしてしまったのであるよ。

 

--------

まぁまぁ、推測ばかりしてもしょうがないので、実際にその雑誌を手に入れて読んでみました。

これです(写し方が下手くそですみまそん)

f:id:ergamioya08hyo:20180427151839j:plain

--------

ってことで読んでみた。その特集をかいつまみながら私感をば。

当該の特集は、ネット上でアンケートをとり、サンプル数が500人だそうだ。

もちろん、セクシュアリティの研究論文のための調査ではないことから、なんともいえぬところはあるが。。。

 

○「格差の真実1 出会いにおける東京プレミアム」

東京在住だと出会いやすいということだ。1ヶ月間に出会う新規人数が10人以上となると、東京以外在住では0%だそうだ。

 

これ、まぁ想定通りの結果であるが、疑問と期待がある。

 ・そもそも、東京住みは全回答者500人の何%なのか。

  アンケートを実施するならそれを算出するくらいは必須である。

 ・東京近県在住や都内在学在勤(山手線沿線に1時間程度でアクセスできる神奈川千葉埼玉県民)、また、堂山や栄、住吉などいわゆる「盛り場」にアクセスのしやすいであろう、大阪府民・愛知県民・福岡県民についても出会いの割合を出してみるとおもしろいのかもしれない。

 

○「格差の真実4 ネガティブさで友達止まりに」

「容姿・コミュニケーション・生き方に自信の持てない」人を『ブスの三冠王』と評している。

 

きちんと統計的検定を行ってないからなんとも言えないが、雑誌上の数値を見ると、友達から恋人になるには、容姿と生き方が大きく関係してくるようだ(コミュ力もさはあれど、上記2項目よりは差が少ない)。

 

これは難しい問題である。こと、セクシュアルマイノリティにおいては、いわゆる「一般社会」、シスジェンダーヘテロセクシュアルの社会に属していると抑圧的にならざるを得ない場面が少なからずとも存在する。

それを考えると、抑圧が大きいほど自尊心や自己肯定感が低いわけで。

おそらくコミュニケーションでかばーしようとしても、雰囲気としてネガティブな生き方が見え隠れしてしまうのかなとは思う。そのうえで、今一度、そもそも「なぜネガティブになってしまうのか」を検討したいところだ。

 

○「格差の真実5 見た目の若さで恋愛は成就しない」

だそうです。とはいうものの、データを見てみると「好む年齢層」はどの年齢でも若い年齢層を好む人が多いと取れる。

 

これはまぁ、「支配欲」と、社会心理学の対人関係や恋愛の研究ではよく言われる「処女性」に関わる部分だと思うので、まぁ納得っちゃ納得。

 

○「ゲイバイ男性向けコラム2 アプリ地雷回避マニュアル」

これですよ気になってたのは!!

・「地雷1 鏡、汚すぎ問題」「地雷2 口元が見えない」

アプリだから致し方ない部分はあるのか、やっぱり容姿重視の考え方ですね。個人的にはそんなことよりも、SNOWやBeautyPlusなどによる「大幅な顔面加工」のほうが気になりますが。。。

 

・「地雷3 ツッコミどころ満載の自己紹介」

私が個人的に一番「うーむ」と感じたのがこれ。

「じゃあどういう自己紹介がベターなのか」という解決策を提案していないのは、まぁまぁまぁさておき。。。おきたくないけど。。。

こういう記述があった。

「普段ノンケ生活です」「2丁目行く人ムリです」に対する編集部のツッコミ「だからなんだよ(笑)」

いやいや、とても「(笑)」なんて言ってられませんよ。これは、ゲイの出会いにおいて、もっと言ってしまえば、ゲイの「プライド」においては大きな問題です。

 

詳しくは後述しますが、監修しているGLGsという団体のセクシュアルマイノリティにおける立場は「LGBT派」なのか「2丁目盛り場派」なのか。このような発言や立場ゆえ、「ふつうのゲイ」向けの雑誌であるにもかかわらず、その定義が混迷してしまっています。

 

「普段ノンケ生活です」「2丁目行く人ムリです」あとは、「オネエとか女々しい人ムリです」っていうように、いわゆる「染まっている人」は無理という人もいるし、「かまってちゃんはムリ」ですとか、「ヤリモクはNGで、真剣な恋愛の付き合いが欲しいです」とか、むしろ逆に「2丁目でお酒一緒に飲める人募集」とか「彼氏はいりません。セフレ募集です」とか、ゲイとはいえ人によって求めるものはバラバラなのにねぇ。このあたりも詳しく後述します。

 

このトピックに対するアタシの結論は、

「結局、この雑誌における『地雷』ってなんやねん」というところです。

 

○「格差の真実8 それでも人は外見じゃない」

アンケートの「あなたの知り合いに『容姿はイマイチだけどモテる人』はいますか?」という設問に対する結果、65%の人が周囲にそういう人がいるそうです。「人懐っこい」「ユーモアがある」とかのコミュニケーション上の特徴があるそうです。

 

待て!

「容姿イマイチ」の逆(?)「容姿が良い」を考えてみましょう。ゲイバイ業界において、イケメン概念がそもそも偏りがあるわね。「華奢な前髪系」がイケメンだと思う人もいれば、いわゆるイカホモ、「ガチムチ短髪ひげ」がイケメンだと思う人もいる。もちろんそれ以外にも。

そういったときに、「容姿がイマイチ」の定義ができるでしょうか(反語)。

 

また、「モテる」定義について。ざっくり以下の分類が出来るのかなと思います。

SNSでいわゆる「ツイドル」と呼ばれるように、フォロワーが多く、いろんな人からちやほやされる

・性行為の経験数が豊富

・エロなしの付き合いの友人の多さ

・恋人候補として手をあげる人の数が多い

くらいですかね。

それだけ「容姿がイマイチ」「モテる」概念が考えられるということは、結果がうまく反映されてないということになりますね。それでも「それでも人は外見じゃない」と言えるでしょうか実際上。

 

○「格差の真実10 出会い格差は生き方格差」

「人生の満足度」と「出会いの有無」の2軸で4群に整理している。そして、その記事末尾には起業家FtMの記事に飛ぶよう記載されている。

 

雑誌の性質上、「LGBT向け」ではあるが、当該調査協力者の約8割はゲイバイ男性となっているから、読者の需要上、ゲイバイ男性のライフヒストリー「も」記事化したほうが良いのではと思った。

 

以上、特集「出会い格差」の感想でした。

 

--------

はてさて、

ところで、この雑誌のコンセプトである「ふつうのゲイ」とはいったいどんな存在なんだろうか。これを検討せねば。

 

 

長くなってしまったので、次の記事にしましょうそうしましょう